厚生労働省が労働基準法違反容疑で電通へ強制捜査に入りました

2016年11月に厚生労働省が労働基準法違反容疑で電通へ強制捜査に入りました。

多くの社員に違法な長時間労働をさせた疑いがあるというのが主な理由となります。

きっかけは多くの報道で御存知の方も多いと思いますが・・・

高橋まつり(当時24歳)の過労自殺事件です。

今回これほど早い時期に大掛かりな捜査が入った理由としては、電通の過労死事件は今回が初めてではなかったからだとも言われています。

2003年の3月に最高裁判所は次のように言っています。

「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。」(最判平成12年3月24日民集54巻3号1155頁、電通過労自殺事件最高裁判決)

つまり最高裁判所は

人は働き過ぎれば死んでしまう

と当たり前のことを正式に認め、企業に長時間労働を防止するようにする義務があるとしました

使用者がこの義務をしなかった場合は、安全配慮義務違反として損害賠償が発生するからちゃんとやりなさいよ〜

ということをこの判決では言っています。

しかし長時間労働はなくなっていません。

ではどうしたら長時間労働をしなくても済むのでしょうか?

長時間労働は減らせるのか?

少し考えていきたいと思います。

長時間労働は違法である

という話は多くの方がご存知だと思います。

しかし現在の日本においてもなお長時間労働は多くの職場で存在します。

中小企業ならいざ知らず「電通」という大企業でさえ起こるのです。

過労死のラインは月80時間の残業です

この80時間というのはどのくらいなのでしょうか?

80時間を労働日数22日で割ると1.8時間

17時半で終了の事業所で19時半に帰ればこの時間になってしまいます。

このような話を聞くと80時間とは決して多くないように感じる方が多いと思います。

しかしここで問題なのはこの80時間をどのように過ごしていたか?

ということになります。

もし熱があり、頭がフラフラしている状態でこの時間を過ごすと考えたらとてもぞっとしますよね

おそらく高橋まつりさんはこのような精神状態に近かったのかもしれませんし・・・

この80時間も過少申告だったという話もチラホラ聞こえています。

そもそも労働基準法1条は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と規定しています

労働時間は1日8時間、週40時間と厳格に規定されています。

しかし・・・

中小企業でこれを厳密に守っているととても大きなコストになります。

中小企業でも100人以下の企業では多くは守れられていないのが実情ではないでしょうか?

守ったほうが良いと分かっていても・・・

それを守るとコストが上がり、事業の維持ができなくなってします。

そこに頭を悩ませている経営者は多いと思います。

この矛盾を考えていくことが今後は求められるかもしれませんね

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運営者:高木鉄平 1978年生まれ。26歳から事業を起こし累計で30億円以上売り上げた実績を持っている。 2010年よりコーチングやカウンセリングを主体とした人材育成を各種企業団体で行っている。育成人数は述べ5000人以上!詳しいプロフィール「高木鉄平」をクリック