ストレスチェック制度は2015年12月に開始されました!
従業員50人以上の事業所を対象に義務づけられてきましたが、今日が最終日です。
本日までに「ストレスチェックを実施する」のが決まっています。
しかし面接指導や労基署への届出等は、今日でなくても大丈夫です。
今回初年度ということで数多くの問題が上がってきました。
今日は少しそこを整理していきたいと思います。
高ストレスと判断された人が10%以上だった
まずこのストレスチェックの目的を考えていきます。
ストレスチェックの目的は大きく3つあります。
○自分自身のストレス状況を確認し、改善する契機にする
○職場のストレスの状況を確認し、改善する契機にする
○ストレスが高いものを早期に発見し、改善する契機にする
それぞれを考えていきます。
今回多くの担当者を悩ませたのがストレスチェックは事業者にはする義務があるのですが
当人、従業員にはストレスチェックを受けるか受けないかは当人次第ということです。
このことから担当者はどれくらいの方が受験してくれるのか?
が大きな心配材料だったと思われます。
ただ多くの方が初めてのことでしたので快く受けていたのでは?
という印象があります。
ではストレスチェックの結果はどうなったのでしょうか?
「高ストレス者」の発生率は10%を上回る事業所が多かった。
厚生労働省の10%前後という基準では若干多いという印象です
この発生率は気になるところではありますが、問題はこの発生率をどのようにしていくのか?
またセルフケアをどのように指導していくのか?
が問題だとされています。
職場環境の課題があぶりだされる「集団分析」は未対応
では、2番目の「 職場のストレスの状況を確認し、改善する契機にする」という目的については、どうだろうか。
ストレスチェック制度では、職場全体の環境を見るための「集団分析」は“努力義務”とされています。
ですからまあしてもしなくても良いという判断をされた方が多いと思います。
それが未対応のところが多くなった大きな理由です。
事業所で集団分析を実施していないところが多く見られます。
集団分析に消極的な事業所の言い分を聞いてみると、
職場環境の改善点を知ってしまえばそれを安全配慮義務の観点から放置できないとなります。
もし高ストレスの職場だから鬱になったと安全配慮義務違反で訴えられたら?
と考えると担当者の心理も冷え込みますよね
そんなリスクがあるならあえて努力義務なら知らない方が良い
そのような心理が働いているのかもしれません。
一方、集団分析を実施した事業所からは、こんな意見も挙がっています。
「仕事の量的な負担が多いことはわかったが、会社が人を増やしてくれない以上、改善のしようがない」
「職場の雰囲気(人間関係)が悪いことはわかっていたが、コミュニケーションの改善など簡単なことではない」
要するに現状の課題はわかったけど、具体的な改善案が見つからない
このように感じる担当者・経営者が多いようです。
働く人が自分の今のストレスの状況を確認できるのはとても意味のあることだと思います。
しかし組織がただ組織の状況把握だけでは勿体無いです。
「うつ病予備軍がこれくらいいるのだね。困ったね」
だけで終わってしまっては残念すぎます。
ただ具体的な改善案としても主に3つの方法
労働時間を削減
責任の軽減
精神的負荷を和らげる
の3つ方法がとられています。
これらの方法はもちろん効果が出るのですが・・・
企業の目的は営利活動の継続であるわけですから、それが損なわれたら本末転倒です。
ですのでストレス軽減と同時にいかに組織が活発になっていくかも考える必要があるのです。
そのために健全でより良い組織に向けた実態把握の手段として、集団分析を活用することは有効であると言われています。
ストレスが高いものを早期に発見し、改善する契機にする
3番目のストレスが高いものを早期に発見し、改善する契機にするという点では、高ストレス者による面接指導の申し出率は低い結果になってしまっています。
この制度が作られた当初は、高ストレス者のおおよそ半数ぐらいがが面談指導を申し出るのでは?
と考えられていたみたいですが、まあ難しいですね
というのはストレスチェックの結果は、本人の同意なく事業所に提供されないのですが、本人が産業医の面談を希望すれば、その結果が会社側に提供されることになってしまう。
まあ筒抜けですよね
自分の高ストレスだという結果を会社側に知られてしまうことはとても嫌なものと考えられる方が多いのも致し方ないですよね
どんな不利益が待っているかと考えるだけで尻込みしてしまうのではないでしょうか?
つまり、ストレス不調を未然に防止するという目的に対しては、やはり最初に危惧された通りに利用しづらい制度だったのが浮き彫りになりました。
今後どのような方針になるのか厚生労働省の判断を注視していきたいと思います。