キャリア諸理論(全体像)

キャリア諸理論

キャリア理論とはキャリア発達やキャリア選択に関する様々な現象を概念化し、一般化した科学的知識の体系のことです。

キャリアコンサルティングの場面では、個人差の大きい個別の問題を扱うことになります。

個別の問題について適切な対応を図っていくためには、個別を超えた一般的な傾向や法則性を理解しておく必要性があります。

さらに特定の理論だけでなく、さまざまなキャリア理論に基づいて、キャリア発達やキャリア選択を理解することによって、多様な個別の問題により適切に対応していくことができます。

4つのアプローチ

・特定因子論的アプローチ

・パーソナリテイアプローチ

・意思決定論的アプローチ

・発達論的アプローチ

4つのアプローチの違いはこちら

特定因子論的アプローチ

パーソンズが提唱した古典的アプローチで、個人の特性と仕事の要件との適合(マッチング)によって職業選択を説明しようとするものです。

特性:個人の興味、能力、適正、価値観、性格など

因子:仕事が求める要件(仕事内容、必要な能力等)

3つの仮説

①個人は、他人と異なる能力・特性を持っている。
この能力・特性は測定可能である

②個人の特性と仕事の要件が一致すればするほど個人の仕事における満足度は高くなる。

③人は自分の特性に合った職業を選択する

パーソンズ(Parsons,F)の理論

・職業指導の創造者「職業選択」(1909)を著した。

3つの段階の職業相談モデル

①自己理解

能力、適正、興味関心、性格、希望などを分析する

②職業理解

仕事の内容、求められる能力を分析し提供する

③合理的推論

上記の①②のマッチングを合理的に推論する

この特性因子論の考え方に基づき

・アセスメントツール

(質問紙、適性検査、性格検査、興味検査、能力検査)

・職業理解のための職業情報が開発されてきました。

また、これらを用いた相談技法も確立され、キャリアコンサルタントにとってはなじみのあるアプローチとなっています。

パーソナリテイアプローチ

個人特性の心理的要因に着目し、職業の結びつきを明らかにしようとするアプローチです。

ローの理論

ロー(1957)は、マズローの欲求段階説を取り入れ、幼児期の欲求不満のあり方が将来の進路選択を方向づけると考えました。

早期決定論

幼児期の家庭環境、養育的態度が、子供の職業選択に影響を与える

ホランドの理論

ホランドの理論は「類型論的ー交互作用的理論」と呼ばれ、人格類型論の流れを汲んでいます

人間は、個人的特性と環境の相互作用の結果としてできあがるものであり、人は社会的・環境的課題に取り組む独自の方法を身につけると考えました。

職業選択やキャリア発達の要因として、個人の行動スタイルや人格類型に着目しています

・類型論(タイプ論)と特性論

類型論(タイプ論):ドイツ、フランス発達

一定の原理や基準に基づいて。人間の行動、思考、性格等を幾つかの典型的なタイプに分類する方法論

全体的に捉える。質的に固有。絶対的なものの見方

例:クレッチマー:体質類型論(細長型、肥満型、闘志型)

例:ユング:心理学的タイプ論(外向、内向・・・)

特性論:イギリス、アメリカで発達

個人の行動特徴等を測定可能な基本的単位(特性)によって記述する方法論。

量や程度を測定。相対的なものの見方

例:性格の特性5因子論(外向性、調和性、誠実性、神経症的傾向、経験への開放性)、学力テスト(偏差値)

ホランドの4つの仮説

①人の行動は、パーソナリテイと環境との相互作用によって決定される

②人のパーソナリティは

 現実型、研究型、芸術型、社会型、企業型、慣習型

 の6つに分けられる。

③職業環境も、パーソナリティタイプと同様に

 現実型、研究型、芸術型、社会型、企業型、慣習型

 の6つに分けられる

④人間は、自分の持っている技能や能力が生かされ、価値観や態度を表現でき、自分の納得できる役割や課題を引き受けさせてくれるような環境を求める

まあわかりやすくいうとホランドは人にはタイプがあり、その6つの項目が高いのか低いのかでその人をある程度分析可能とした。日本においてもそのような分析をしていいたりする会社もある有名どころではアンケートスタイルの「適職診断テスト」である「CPS-J」(日本マンパワー)や「R-CAP」(リクルート)などがあります。

意思決定論的アプローチ

意思決定論的アプローチは、どのように選択するのかというキャリア選択の家庭に焦点を当て、その解明を試みるものです

ジェラットの理論

連続的意思決定モデル

スクリーンショット 2016-04-21 21.08.27・2種類の決定:試験的決定、最終的決定

・2種類の決定は、目的・目標の吟味や、情報の収集にフィードバックするサイクルを構成します。

試験的決定は、最終的決定が下される前に何回か繰り返されます

・3段階の意思決定過程の方略

①予測システム

可能性のある選択について、その結果を予測する

②価値システム

予測された結果がどの程度望ましいかを検討する

③基準システム

可能な選択を目的や目標に照らして評価し、決定の基準に合致したものを採択する

・積極的不確実性(1989)

未来は予測できないものである

客観的で合理的な方略だけでなく、主観的で直感的な方略も重視し、それらの統合を図る

クランボルツの理論

クランボルツは、バンデューラの社会的学習理論を礎として、キャリア意思決定における社会的学習理論を体系化した。

・キャリア意思決定に影響を与える要因

①遺伝的特性と特別な能力

②環境的状況と出来事

③学習経験

④課題アプローチスキル

議題アプローチスキル

目標設定、価値分析、代替案の策定、優先順位付情報収集、選択する等スキル

・偶発性学習理論(2009年)

我々のキャリアは、予期せぬ出来事によって決定されます。人生で遭遇する、その予期せぬ偶発的出来事を上手に活用することによって、偶然的出来事も自分のキャリア形成の力に変えていくことができます。

これは一人一人の主体性であり、意識的努力によるものです。

偶発的出来事が起きるその前には、自分自身のさまざまな行動が存在しており、その自分の行動が次に偶発的に起きるその出来事を決定しているとも言えます。

発達論的アプローチ

発達論的アプローチは、職業選択の一時点だけではなく、生涯にわたるキャリアの発達について解明しようとするものです。

代表的な理論

・スーパー(Super,D,F.)の理論

・ハンセン(Hansen,I,S.)の理論

・シュロスバーグ(Schlossberg,N,K.)の理論

・サビカス(Savickas,M,I.)の理論

スーパー(Super,D,F.)の理論

スーパー(1957年)は、キャリア発達を「前進する一つの過程」として捉え、生涯にわたって繰り返される「選択と適応の連鎖の過程」であることを強調しています。

キャリア発達段階

スクリーンショット 2016-05-02 23.30.01①成長期(0〜14歳)

②探索機(15〜24歳)

③確立期(25〜44歳)

④維持期(45〜64歳)

⑤解放期(65歳以上)

・各段階には、達成するべき発達課題がある

・マキシサイクル:生涯にわたる発達段階

・ミニサイクル:各段階に移行期にあるサイクル

ライフキャリアレインボー

スーパーはキャリア発達に「ライフプラン」と「ライフスペース」の概念を取り込み「ライフキャリアレインボー」と呼ばれる図を考えました

ライフスパン:発達の段階

①成長 ②探索 ③確立 ④維持 ⑤解放

ライフスペース:社会的立場や人生の役割

①子供 ②学生 ③余暇人 ④市民 ⑤労働者 ⑥家庭人

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ハンセンの理論

ハンセンはスーパーの理論を発展させて、1980年代に「人生役割設計」(life role planning)という考え方を示した。

1980年代の終わりには、人生や仕事を統合する枠組みとしてILP(Integrative Life Planning 統合的生涯設計)という概念を提唱した。

ILPは人生やキャリア設計への包括的なアプローチであり、単なる適職選択の問題だけでなく、その後の生涯にわたって継続する職業生活や、過程や地域など職業生活以外の生活領域を含めた生涯キャリア発達についての全般的なプランニングのことです。

ILP「総合的生涯設計」が提唱する重要な人生観

①グローバルな状況を変化させるための仕事を探す

②人生を意味ある全体像の中に織り込む

③過程と仕事の間を結ぶ

④多元性と包含性を大切にする

⑤個人の転機と組織の変革に共に対処する

⑥精神性、人生の目的、意味を探求する

人生の4つの要素(4L)

仕事Labor、学習Learning、余暇Leisure、愛Love

人生に役割に組み合わせを着ると(パッチワーク)に例え、それぞれの要素がパッチワークのように縫い合わされ、組み合わされ統合されて「一つの意味ある全体」になると考えた

シュロスバーグ

シュロスバーグは急激に変化する社会の中で、人生の転機に遭遇した人々を支援する必要性から、キャリア発達理論を構築した

生涯発達の過程では、安定期と移行期(過渡期)が繰り返される

この移行期(過渡期)には、人生の役割、人間関係、日常生活、自己のあり方などに変化をもたらす就職、離職、転職、配置転換、倒産、離婚などといったキャリアの転機が訪れ、その転機にどのように対処したかによって、個人のキャリアが形成されていくと考えた

転機に対処するには「4S」と呼ばれる4つの資源を確認することが大切であるとした

4S(4つの資源)

①状況(Situation)

②周囲の支援(Support)

③自分(Self)

④戦略(Strategies)

その転機によってどのような変化が生じているのか?その転機がどのような背景によって起こったのか?その転機への対処にどのような資源が活用できるのか?等を検討し、対処に活用できる資源と脆弱な資源を明らかにしつつ、「4S」を強化していくことがキャリア発達であるとした。

サビカスの理論

キャリア構築理論を提唱した(2005年)

この理論は、ホランドやスーパーの伝統的理論に基礎を置き、ナラティブ心理学を強調する社会構成主義から出てきました

・伝統的理論では柔軟な組織と流動化した社会において転職する労働者の要求に応えることができない。

・キャリア構築理論では、仕事と関係性を通じた自己の構築に焦点を当てている。

・キャリアカウンセリングについても、人生の職業を見つけるという課題から人生の職業を創造する方向に転換させる必要があると考えた

キャリア構築理論の構成概念

①職業パーソナリティ

能力、欲求、価値観、興味

②キャリアアダプタビリティ

現在および今後のキャリア発達課題、職業上のトランジション、トラウマに対処するためのレディネスおよびリソース

③ライフテーマ

個人が何のために行動するか、行動する意味?

キャリアストーリー

個人が直面した発達課題や職業上のトランジションなどについての語り

ナラティブアプローチ

キャリアを小説な物語として捉えるナラティブアプローチが注目されています

ジェップセン(Jepsen,D,A.)の主張

「キャリアはノンフィクションの仕事経験小説であり、他の小説や物語と共通する幾つかの要素によって構成される。これらの諸要素は、キャリア教育を通じて、児童生徒・若者たちが何を学ぶべきかを示している」

諸要素

①キャリアには著者がいる

②時の経過とともに進展する

③ある場所を舞台に展開する

④脇役の人々も登場する

⑤筋書きがある

⑥キャリアには障壁や事故が伴う

ABOUTこの記事をかいた人

運営者:高木鉄平 1978年生まれ。26歳から事業を起こし累計で30億円以上売り上げた実績を持っている。 2010年よりコーチングやカウンセリングを主体とした人材育成を各種企業団体で行っている。育成人数は述べ5000人以上!詳しいプロフィール「高木鉄平」をクリック